「ほめられても、たまたまうまくいっただけ」「今の評価は実力以上で、いつか見抜かれる気がする」。周りからは順調に見えているのに、自分だけが不安を抱えていませんか。
インポスター症候群とは、成果を出していても「自分の実力ではない」「いつか見抜かれる」と感じてしまう心の状態のことで、医学的な診断名ではありません。成果や周りの評価という「事実」と、「実力じゃない」という「感じ方」を分けて書き出していくと、自分への評価を少しずつ受け取れるようになります。
この記事では、今の仕事や将来にモヤモヤしている20〜30代の働く女性に向けて、インポスター症候群の意味と特徴、強くなりやすい場面、事実と感じ方を分ける対処法3ステップ、昇進や新しい役割を打診されたときの考え方を紹介します。LadyMapを運営する女性向けキャリアコーチング「LadyCarry」の卒業生で、実力以上の期待にプレッシャーを感じていた方の例もあわせて紹介します。
- インポスター症候群は、成果を「実力じゃない」と感じてしまう心の状態。医学的な診断名ではなく、謙虚さや慎重さの裏返しとして表れることもある
- 成果や周りの評価という「事実」と、「たまたま」「見抜かれる」という「感じ方」を分けて書き出す
- 昇進や新しい役割の打診は、不安の中身を分けてから、相談・条件の調整・断るの順に考える

「自分にはどんな強みがあって、どんな働き方が向いているんだろう」と感じている方は、LadyCarryの適職診断で今の自分の傾向をのぞいてみませんか?いくつかの質問に答えるだけで、あなたの強みや価値観、働き方の傾向から、向いている仕事の方向性を整理できます。
インポスター症候群とは?意味と生まれた背景

インポスター症候群とは、周りから評価されていても、それを自分の実力だと思えず、「いつか偽物だとばれる」と感じてしまう心の状態のことです。インポスター(impostor)は英語で「偽物・詐欺師」という意味で、「インポスター現象」と呼ばれることもあります。
心理学者が「優秀な女性」の研究で名づけた
インポスター症候群のもとになった考え方は、1978年に心理学者のポーリン・クランスとスザンヌ・アイムスが、高い成果を上げている女性たちを対象にした論文(英語)で「インポスター現象」として示したものです。成果があるのに「自分は周りをだましている」と感じてしまう人がいることに、名前がつけられました。
医学的な診断名ではなく、女性だけのものでもない
インポスター症候群は、病気や医学的な診断名ではなく、多くの人が経験しうる「感じ方の傾向」です。心理学の解説サイトSimply Psychology(英語)でも、主な診断の手引きには載っていない、とされています。また、最初の研究が女性を対象にしていたため女性の話として語られることが多いものの、その後の研究では男女ではっきりした差は見られないとも紹介されています。
そのため、この記事でも「インポスター症候群かどうか」を決めつけることより、仕事で同じような不安を感じたときに、どう向き合うかに目を向けていきます。
インポスター症候群の特徴|当てはまるかセルフチェック

インポスター症候群の特徴は、「成果を自分の力だと思えない」「評価されるほど不安になる」「失敗を過度に恐れて頑張りすぎる」の3つにまとめられます。次のチェックは診断ではなく、今の自分の状態をふり返るためのものです。
- うまくいったことを「運がよかった」「周りのおかげ」と考えてしまう
- ほめられると、うれしさより「次も期待されたらどうしよう」が先に来る
- 「本当はできないことが、いつかばれる」と感じることがある
- 準備しすぎたり、人より何倍も頑張ったりしないと不安になる
- 小さなミスを、自分の実力不足の証拠のように感じる
- 昇進や新しい役割を打診されると、「私には無理」とまず思う
当てはまるものが多いほど、「事実」より「感じ方」で自分を評価しているサインかもしれません。当てはまった方は、次の章で「どんな場面で強くなりやすいか」を確かめてから、対処法の3ステップに進んでみてください。
謙虚さ・慎重さとの違い
インポスター症候群は、謙虚さや慎重さの裏返しとして表れることもあり、悪いことばかりではありません。ちがいは、「事実を受け取れているかどうか」です。
成果は成果として認めたうえで、もっと良くしたいと考える
ほめ言葉を「ありがとう」と受け取れる
準備は「必要な分」でやめられる
成果があっても「たまたま」と打ち消してしまう
ほめ言葉を受け取れず、不安が大きくなる
準備をやめると不安で、頑張りすぎてしまう
インポスター症候群が強くなりやすい仕事の場面

インポスター症候群は、ずっと同じ強さで続くというより、評価や期待が変わる場面で強くなりやすいものです。自分が不安になりやすい場面を知っておくと、「今は感じ方が強くなっているだけかも」と気づきやすくなります。
昇進やリーダーを任されたとき
役職がついた、チームのまとめ役を任されたなど、役割が大きくなったときは、「自分に務まるはずがない」と感じやすくなります。期待が大きくなる場面ほど、「実力以上に評価されている」という感じ方も強くなりがちです。
異動や転職をしたばかりのとき
新しい職場では、周りがみんな優秀に見えて、自分だけが場違いに感じることがあります。経験が少ない場面で「できない」と感じるのは自然なことで、実力がないこととは別のものです。仕事が変わってすぐの不安が強い方は、仕事に自信がないときの原因の見分け方も参考にしてみてください。
ほめられた・評価されたとき
評価面談で高い評価をもらった、お客様から名指しでお礼を言われたなど、ほめられたときこそ不安になるのが、インポスター症候群の特徴です。ほめられたときに不安になるのは、評価そのものより、「次も同じようにできなかったら」という先の心配が大きくなるためです。
周りの人と比べやすい環境にいるとき
優秀な同期が多い、成果が数字で比べられやすいなど、比べやすい環境では、自分の成果が小さく見えやすくなります。比べる相手を「周りの人」から「少し前の自分」に変えるだけでも、成果は受け取りやすくなります。周りの目が気になって自分の基準を持てないときは、他人軸から自分軸に変える方法も参考になります。
インポスター症候群の対処法:事実と感じ方を分ける3ステップ

インポスター症候群の対処法は、①不安になった場面を書く→②事実と感じ方を分ける→③評価を受け取る練習をする、の3ステップで進めましょう。「自信を持たなきゃ」と気持ちだけで変えようとするより、書き出して整理するほうが続けやすくなります。
STEP1:「見抜かれる」と不安になった場面を書く
まずは、「実力じゃない」「いつか見抜かれる」と感じた場面を、いつ・何があったかで書き出しましょう。前の章の4つの場面(昇進・異動や転職・ほめられた・比べやすい環境)のどれに当たるかも書き添えておくと、自分が不安になりやすいパターンが見えてきます。
STEP2:事実と感じ方を分けて書く
次に、その場面で起きた「事実」と、自分の「感じ方」を2つの欄に分けて書きます。事実は、誰が見ても同じように確かめられること(成果・数字・周りの言葉)だけを書くのがポイントです。たとえば「企画書をほめられて不安になった」場面なら、次のように分けます。
「たまたまうまくいっただけ」
「周りが手伝ってくれたから」
「本当は何もわかっていない」
「期限までに企画書を出し、採用された」
「手伝ってもらった部分以外は自分で進めた」
「会議で企画の内容について質問に答えられた」
書き出してみると、感じ方は「事実」をかなり小さく見積もっていることに気づけます。事実の欄に書いたことが、自分の強みを見つけるヒントになります。強みを言葉にしたいときは、自分の強みがわからないときの見つけ方と強み一覧も参考にしてみてください。
STEP3:評価を受け取る練習をする
ほめられたときは、「いえいえ」と打ち消さずに、まず「ありがとうございます」で止める練習から始めてみましょう。受け取った言葉は、STEP2の「事実」の欄に書き足していきます。
「でも」「たまたまです」と続けず、お礼だけを伝えます。
誰に、どんな言葉で評価されたかを、言われたとおりにメモします。
たまった評価を読み返し、くり返し言われていることに印をつけます。
昇進や役割の打診、受ける?断る?考える順番

ふだんの仕事では、前の章の3ステップで感じ方のくせを少しずつほぐしていくのが基本です。一方で、昇進やリーダーなど新しい役割を打診されたときは、今すぐ答えを出す必要があり、インポスター症候群の不安が急に大きくなりやすい場面です。3ステップと並行して、次の順番で考えてみましょう。
打診を受けるか迷ったら、まず不安の中身を書き出し、次に上司にサポートや条件を相談し、それでも負担が大きすぎるときに断る・時期をずらす、の順で考えるのがおすすめです。「自信がないから断る」と決める前に、相談できることがないかを確かめてみましょう。
| 順番 | やること | 次に進む目安 |
|---|---|---|
| 1. 不安の中身を書き出す | 「できるか不安」か「望んでいない」かを分ける | 中身が書き出せた |
| 2. 上司に相談する | サポートの有無・任される範囲・時期を確かめる | 相談しても負担が大きすぎる |
| 3. 断る・時期をずらす | 理由と、今できることを伝える | — |
STEP2で事実を確かめる
サポートや研修があるか上司に聞く
任される範囲を相談する
大切にしたい働き方を書き出す
今の役割で力を発揮したいと伝える
キャリアの選び方を見直す
上を目指さない選択も、自分が大切にしたい働き方から選んだのであれば、立派なキャリアの選び方です。管理職になりたくない気持ちの整理のしかたは、管理職になりたくないときの選び方で詳しく紹介しています。
インポスター症候群の不安から、頼まれた仕事をすべて引き受けたり、休まずに働き続けたりするのは注意が必要です。気分の落ち込みや眠れないなどの不調が続くときは、一人で抱え込まず、医療機関や産業医など専門家に相談してください。
これからの働き方を考える手がかりがほしいときは、自分の強みや向いている方向を知るところから始めるのもひとつの方法です。LadyCarryの適職診断なら、いくつかの質問に答えるだけで、今の自分の傾向を整理できます。
卒業生の例:実力以上の期待にプレッシャーを感じていたKさん

ここでは、LadyCarryの卒業生で、周りの期待に応えようと「できる自分」を大きく見せていたところから、本音で働けるようになったKさんの例を紹介します。Kさんがインポスター症候群だったというわけではありませんが、感じていた不安にはこの記事の内容と近い部分があります。
「できる子」でいなければと頑張りすぎていた
新卒からSEとして働いていたKさんは、周りから実力以上に期待されることが多く、そのたびにプレッシャーを感じていたそうです。「ちゃんとしなきゃ」という気持ちが、いつも頭のどこかにあったといいます。「実力以上に期待されている」と感じてプレッシャーを抱えるのは、この記事のセルフチェックにある「次も期待されたらどうしよう」に近い状態です。
上司は「できる子」を求めていると思い込み、自分ができること以上にやろうとしていたKさん。でも実際は、頑張って大きく見せている姿は、上司が求めている姿ではなかったと気づいたそうです。
大切にしたい価値観を言葉にして、本音を伝えられるように
LadyCarryで人生をふり返るワークに取り組み、自分が充実するために大切な価値観は「受容」と「余裕」だとわかりました。「できる自分」しか受け入れてもらえないと感じると、しんどさが一気に上がることにも気づけたといいます。「上司が求めている姿」と「自分の思い込み」を分けて見直したのは、STEP2の事実と感じ方を分ける考え方に近いものです。
今は会社でも本音を言えるようになり、以前なら言えなかった異動の希望も伝えられたと話しています。
Kさんのお話は、インタビュー記事で詳しく紹介しています。

一人で感じ方を変えにくいときは

インポスター症候群のような感じ方は、自分の中のくせなので、一人で書き出しても「やっぱり実力じゃない」と打ち消してしまいやすいものです。そんなときは、第三者と一緒に経験をふり返ると、自分では小さく見積もっていた成果や強みに気づけることがあります。
LadyCarryの卒業時アンケートでは、91.7%(242名中222名)の受講生が、「理想の実現のための行動が明確になった」「自分軸で判断し行動できているイメージを持つことができている」のいずれかを選んでいます。
※LadyCarry受講生 卒業時アンケート調査(2025年7月〜2026年9月/実人数242名)。「卒業時の状態」を問う設問で「理想の実現のための行動が明確になった」「自分軸で判断し行動できているイメージを持つことができている」のいずれかを選んだ受講生の割合
LadyCarryの無料オンラインセミナーでは、自己理解をこれからの仕事選びにつなげる考え方を紹介しています。ワークシートつきなので、セミナーのあとも自分のペースで考えを進められます。周りの期待ではなく、自分の基準で役割や働き方を選びたい方は、まずはセミナーをのぞいてみてください。
- 画面オフ・マイクオフで参加できる:自宅から周りを気にせず、リラックスして聞けます
- 自分軸を見つける自己分析のコツ:今のモヤモヤを分けて、自分の判断基準を組み立てる考え方を学べます
- オリジナルワークシートつき:セミナーのあとも、自分のペースで考えを進められます
「やりたいことがまだ決まっていない」という段階でも大丈夫です。実際に、LadyCarryの1対1の個別相談に申し込んだ方の約43%は、まだ求人に応募もしていない“モヤモヤ段階”からのスタートでした。受講後の担当コーチへの満足度は99.6%です。
※LadyCarry 個別相談(無料カウンセリング・パーソナルセッション)申込フォームより集計(2025年2月〜2026年9月/実人数4,108名)、LadyCarry受講生 卒業時アンケート調査(2025年7月〜2026年9月/実人数242名)。担当コーチの満足度は「5:大変満足」「4:満足」と回答した割合
よくある質問
- インポスター症候群は診断できますか?
-
インポスター症候群は医学的な診断名ではないため、病院で診断されるものではありません。この記事のセルフチェックは、今の自分の感じ方をふり返るためのものとして使ってください。気分の落ち込みなどの不調が続くときは、医療機関に相談しましょう。
- インポスター症候群は女性に多いのですか?
-
最初の研究が女性を対象にしていたため、女性の話として語られることが多いですが、その後の研究では男女ではっきりした差は見られないとも紹介されています。性別にかかわらず、評価や期待が変わる場面で感じやすいものです。
- インポスター症候群は治りますか?
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病気ではないので「治す」というより、感じ方とうまく付き合っていくものと考えるのがおすすめです。事実と感じ方を分けて書き出し、評価を受け取る練習を続けると、不安に振り回されにくくなります。
- 自信がなくて昇進を断りたいときは、断ってもいいですか?
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断ってもかまいません。ただ、不安が「できるか自信がない」だけなら、まずは上司にサポートや任される範囲を相談してみましょう。「その働き方を望んでいない」なら、大切にしたい働き方を伝えたうえで断るのも1つの選択です。
まとめ

インポスター症候群は、成果を「実力じゃない」と感じてしまう心の状態で、事実と感じ方を分けて書き出すと、自分への評価を少しずつ受け取れるようになります。
「たまたま」と感じた成果も、書き出してみれば、あなたが積み重ねてきた事実です。まずはSTEP1の「不安になった場面を書く」ところから始めてみましょう。
仕事の悩みをもっと整理したい方は、こちらの記事もあわせて読んでみてください。

キャリアコーチ・キャリアアドバイザー。LadyCarry認定コーチ。これまでに300人以上のキャリア相談に携わる。Gallup認定ストレングスコーチの資格を保有し、強みを活かしたコーチングにも従事。20〜30代女性が「自分らしさを仕事に変える」ための支援に特化。


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